同志社大学商学部 高橋広行 研究室

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全ての研究は、問題意識から始められねばならない

以下は,匿名サイトの2010/3/11に掲載したもの。再掲した理由は,どこに問題意識を持って研究するか,という点が研究の独創性となることを改めて実感したから。

同じものを見ていても見え方が違うのは本人が持つ視点の違い(こんなことを考えるのはカテゴリー研究をしているため?)


ポランニー『暗黙知の次元』からの引用。

「研究が成功するのは,問題が妥当な場合に限られるのだ。そして問題が独創的である場合に限って,研究もまた独創的でありうる。・・・・問題を考察するとは,隠れた何かを考察することだからだ。それは,まだ包括されていない個々の諸要素に一貫性が存在することを,暗に認識することなのだ。この暗示が真実であるとき,問題もまた妥当なものになる。そして,私たちが期待している包括の可能性を他の誰も見出すことが出来ないとき,それは独創的なものになる。」(p.46)

暗黙知について述べている章における研究の話である。すでに問題が認識されている時点で何らかの法則性を意図しているはずで,オリジナル性は問題意識の持ち方から始まる。個々の諸要素(変数や概念)ではなく,もっと大きな問題意識の中にこそ重要な研究がある,といった感じかな。

つまり,「私たちは問題それ自体だけを見ているのではないからだ。そのとき私たちは,それに加えてもっと重要なもの,問題が徴候として示しているある実在(リアリティ)への手掛かりとして,問題を見つめているのだ。・・・・すなわち,私たちは初めからずっと,手掛かりが指示している「隠れた実在」が存在するのを感知して,その感覚に導かれているのだ・・・・・」(p.50)という。

なるほど,研究する者としてよくわかる。