同志社大学商学部 高橋広行 研究室

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『消費者視点の小売イノベーションーオムニ・チャネル時代の食品スーパー』

  

 食品スーパーは日本独自の業態として進化し、我々の生活に密着した小売である。この業態と関わるメーカーの方々も多いだろう。

 変化対応業とも言われる食品スーパーが,このデジタルな時代に生き残るには?ネットとどう向き合うのか,レストランと融合するスタイルは成功するのか,などを消費者行動論の視点と価値論で考えました。

 第1部では,業態の認識やブランディングといった点を実証分析でとらえつつ,第2部では,その革新的なイノベーションにつながる価値を持つ「リアル店舗」の先端事例を取り上げ,その実務的なインプリケーションをとらえ,第3部では,オムニ・チャネル,モバイル,スマートショッピングといった,ネットとの融合を意識して議論した本です。小売の目指すべき方向性を示せたらいいな,と思っておりますし,読者の方々と一緒に考えていきたいな,という本です。

 そして,「細部」にまでこだわった本です。

・表紙デザインは,手に取りやすいイメージ(セメントプロデュースデザインの金谷氏,志水氏には表紙デザインを,ゼミ生にはその表紙に対して多くの評価コメントをもらい,協力してもらいました)。好きなブルーと紫の同志社カラーも意識しつつ。

・文字は,女子が好きそうな「丸みのある」明朝フォント

・大切な点をゴシック体で強調する書体

・3部構成は,縦読みも可能(ストーリーを持って読みたいときは,第1部から順に,先端的なリアる店舗の取り組み事例を知りたいときは第2部から,先端的なネットの動向を知りたいときは第3部から読めるように工夫しています)。

・さらに,わかりやすさを高めるために専門用語を極力避け,必要に応じて解説を加えながら,図表を多用しました(編集泣かせですみません)。

 ブランドのこだわりの研究をしているため,ものづくりへのこだわりが価値を高めると思い,後々まで連綿と続く価値のある本になれば良いなぁと思い,本づくりにもこだわりまくりました。

 他にも,読者の興味を高めるために,Amazonをはじめ,感覚マーケティング,イケア,百貨店,いきなりステーキ,蔦屋Tsite,俺のシリーズ,海外の小売などが伸びている様子や仕組みも,少しずつですが「参考」にしながら,これからの店づくりを考えた本です。なお,本書を刊行するにあたり,同志社大学商学会より出版助成をいただきました。ここに厚く御礼申し上げます。

《有斐閣様の紹介文》引用。

 消費者視点に立った食品スーパーのイノベーションとはなにか。消費者の求める価値をさまざまな枠組みでとらえ,先端的事例を分析。デジタル時代のマーケティング考察も行い,理論的・実務的示唆を導き出す。図表を多用し,いきいきと解説する。

[目次]

 序章 小売イノベーションを消費者視点でとらえる

【第1部 食品スーパーのブランド力と業態認識:実証研究】

 第1章 食品スーパーの競争力の源泉

 第2章 消費者視点の業態認識

 第3章 業態認識主体としてのスクリプト

 第1部のまとめ

【第2部 食品スーパーの革新性:事例研究】

 第4章 小売の価値をふまえた革新の方向性

 第5章 事例:買い物行動のスクリプトの革新性 まいばすけっと

 第6章 事例:店舗内行動スクリプトの革新性(1) サンシャインチェーン

 第7章 事例:店舗内行動スクリプトの革新性(2) 阪急オアシス

 第8章 事例:売り場行動スクリプトの革新性 北野エース

 第2部のまとめ

【第3部 オムニ・チャネル時代への対応:レビュー研究】

 第9章 消費者行動の変化とオムニ・チャネル

 第10章 モバイル・デバイスとアプリ

 第3部のまとめ

 終章 オムニ・チャネル時代の小売イノベーション

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2018年11月06日発売

有斐閣

A5判上製カバー付 , 248ページ

定価 3,672円(本体 3,400円)

ISBN 978-4-641-16530-4

【書評】

『マーケティングジャーナル』Vol.40,No.2(2020)に書評が掲載されました。評者は,清水 信年・流通科学大学商学部教授。→閲覧はこちら

『マーケティングホライズン』2019年6月号に書評が掲載されました。評者は,田中祥司・摂南大学経営学部准教授。

『日経広告研究所報』303号(2019年2月・3月号)に書評が掲載されました。評者は,久保田進彦・青山学院大学経営学部教授。