同志社大学商学部 高橋広行 研究室

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仮説の深さとは?

卒論の指導中、学生から「仮説をどこまで詰めればいいのかわからない?」という、鋭い質問があった。

昔、恩師が学会で「どうでもいい仮説ばっかり検証しやがって」というコメントを、ふと思い出した。

まさにその通りで、研究の深さは仮説の鋭さに現れると思います。換言すれば、鋭い仮説にたどり着けるかどうかは、先行研究のレビューの深さだと思います。

ただ、卒論のように限られた時間の中で、あまり先行研究の幅を広げすぎると、何をやっているのかわからなくなるし、まとまらなくなるので、「少しずつレビューを広げながら、仮説を積み上げてね」というアドバイスをしてあげたら、納得してくれた。

研究者の飯の種も、この専門領域の造詣の深さだと思います。「だから、研究には時間がかかるんだ」という点も伝えました。学生の卒論や企業のリサーチと研究論文との違いはこのレビューの深さだと思います。

私自身、まだまだレビューは足りていないと思いますが、実務経験の視点で、先行研究の必要な部分とそうでない部分をうまく切り分けながら、その切り口のシャープさ(ユニークで他とは違う視点)を自分の持ち味だと思い、日々研究しているつもりです。

こういった学生の素朴な疑問は、自分を見つめ直す、いい機会になります。