同志社大学商学部 高橋広行 研究室

ブログ

中国科技大学(台湾)での講義

2014年3月26日から30日までの5日間,陳玉燕先生にコーディネイトして頂き,客員教員として中国科技大学 管理學院部(台湾)に滞在した。

26日(水)は大雨の中,関空に向かうシャトルバスに乗り遅れそうになる(なんとか間に合う)。その後,夕方に台湾に無事に到着するものの,(気温は昼間26℃とかなり暑い中)シャトルバスで戸惑う。なんとか無事に向山先生らと合流し,有朋会台湾支部の方々と楽しく会食できた。

27日(木)は午前から午後にかけて「日本の消費の実態」についてマクロ的な視点で講義を行う。学生との対話を経て,午後から夕方にかけてキャンパスを案内して頂きつつ,管理學部 院長の劉明徳先生,流通・マーケティング副主任の蕭亞洲先生を表敬訪問。途中で立ち寄った図書館の消費者行動論のコーナーには翻訳版がいくつも出版されており,羨ましい限り。夕方からは向山先生,趙 先生のインタビューに同行させて頂き,インタビュー後の食事は話題のディンタイフォンの小龍包を本店で初体験。小龍包の上の部分は歯ごたえがあり,下の部分はスープの肉汁でプリンとした食感で,1時間待ちも納得した。

28日(金)も午前から午後にかけて「日本の消費トレンド」「店頭の意思決定とパッケージの重要性」などについて話をした。日本のスナック菓子を持参したところ,学生らは大喜びで,特に女子らは2段階くらいテンションが上がっていた。 講義の後(夕方から),日本語がとても上手な男子2人が,私の行きたい場所のガイドを喜んで引き受けてくれた。 道中,学生らの普段の行動や生活の様子を聞き出しつつ(消費者行動研究者として,彼らの生活行動にも興味がある),台北のオーガニック専門店「棉花田 生機園地」,「青田七六」(日本の地質学者の終の棲家),学生がよく行く寺院横の路地型の「饒河街観光夜市」などを案内してもらい,台北市内の様子も少し理解できた。なお,この2日間の講義や案内をしてくれた学生達から「本当に楽しい講義だった」と言ってもらえたことが嬉しかった。

29日(土)は自由行動の時間を頂き,まず,関羽が商売の神様として祀られている「行天宮」を訪問。寺に入る前にお供え物の麺・餅米・線香・黒糖菓子を購入し,それらを皿に乗せてお供え台に置く。購入した線香は,院内で「すでに点火している線香」を持った方と交換してもらい,寺院の門側に向かって一礼,その後本堂に向かってお参りしている人々のわずかなすき間を縫って参拝。午後からは,『千と千尋の神隠し』の舞台のモデルになった九份に連れて行って頂いた。陳先生によればこの商業エリアはある商業系の協会が支援しているという。確かに,狭い路地には魅力ある多様な店舗が軒を連ねており,中国からの観光者も多く,とても活気があり,昔の金鉱地区が商業エリアとして蘇った事例としても見る価値がある。

最終日は,地元の食品スーパー「MATSUSEI 松青超市」,セブンイレブン,スターバックスを視察。最後に5つ星ホテルの地下にあるCity Superを陳先生と視察して帰国。この時に陳先生との対話を経て実感したのは,「同じ食品スーパーでも文化が違えば利用される位置づけが全く異なる」という点である。台湾では,朝市で野菜を買うのが一般的であり, スーパーはまだまだ高級な食品が揃う店である。また,共働きが多い台湾では,平日は屋台で食事をする・買うことが一般的であるため,来店者もまばらである。週末も日本の様に通路が客で埋まることもなく,あまり客数も多くない。つまり,店舗(業態)の国際比較をする場合,その文化的背景やライフスタイルを理解しなければ,本当の意味での店の位置づけを理解できないということを実感した。

とても充実した台湾での5日間でした(講義に行ったはずなのに,ほぼ市場研究させていただいた内容になっています)。

本当にとてもいい機会でした。陳先生には重ねて感謝感謝,多謝!