同志社大学商学部 高橋広行 研究室

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『ケースで学ぶケーススタディ』 同文館出版 について

『ケースで学ぶケーススタディ』 同文館出版 2015年4月

【カバーデザインについて】

緑にした意味

・若手(?)3名の初々しさの演出(笑)

・新緑の4月刊行の緑

上記に加えて,グラウンデッド(地に足のついた)データ収集をするという意味の土色の帯,そして,その地をフィールドワークする研究手法という意味で,フィールドの緑をイメージしました。

 また,フィールドワークに使うノートや小物,パソコンにスマホ,などのツールもケーススタディ・リサーチの雰囲気や印象をかきたてるように配慮しました。

 個人的に文房具好きなので,気に入ったデザインです。

▼本書のポイント▼

 髙橋・徳山・吉田の3人の若手(?)マーケティング研究者が,ケーススタディ・リサーチで国際的に活躍されている佐藤善信先生から学んだノウハウを体系的にまとめたものが本書です。自分たちの専門の研究もあったため、苦節3年かかりましたが、良い本になったと思っております。

 我々もそうでしたが、日本の研究者はケーススタディ・リサーチのうまい進め方や分析プロセスなど、方法論としてのケーススタディ・リサーチをきちんと学んでないことも案外多いように感じます。

 そこで、本書ではその研究プロセスに沿って、ケーススタディ・リサーチを解説しています。紹介編でケーススタディの概要について触れ、実践編で具体的な進め方について解説しています。特に大きな特徴は、読者にケーススタディ・リサーチの「具体的な進め方」の参考にしていただきたいと思い、我々が実際に取り組んだケーススタディ・リサーチのプロセスを臆すことなく(赤裸々に)示している点です(8章髙橋:地域ブランド化、9章吉田:市場創造企業のケース)。応用編では効率的なケーススタディ・リサーチの進め方やケーススタディとの相乗効果を狙ったケースメソッドの進め方についても触れています。

 こういった点から、研究者だけでなく、大学院生やビジネススクールの学生に至るまで、幅広い読者に末永く利用して頂きたいと思い、できるだけ難しい用語は避け、わかりやすく学べるように工夫したつもりです。

 ぜひ、ご一読頂き、ケーススタディ・リサーチに積極的に取り組んで頂ければ、著書一同としても本望です。

【謝辞】 ゲラの段階で精読頂き,丁寧なコメントを下さった近藤公彦先生(小樽商科大学),瀬良氏,安藤氏にも感謝いたします。

 

【目次】

 第Ⅰ部 紹介編

 1章 ケーススタディとは何か

 2章 ケーススタディ・リサーチのメリット・デメリット

 第Ⅱ部 実践編

 3章 研究目的とケースの位置づけ

 4章 ケースアイディアの見つけ方

 5章 データ収集

 6章 データ分析の手法(1)グラウンデッド・セオリー・アプローチ

 7章 データ分析の手法(2)KJ法、エスノメソドロジー、会話分析、言説分析

 8章 ケースで学ぶケーススタディ・リサーチ(地域ブランド化)

 9章 ケースで学ぶケーススタディ・リサーチ(企業のマーケティング行動)

 第Ⅲ部 応用編

 10章 ケーススタディ・リサーチの上手な進め方

 11章 ケースメソッドの進め方1(ケース教材の作成)

 12章 ケースメソッドの進め方2(授業の準備と進行)

 13章 ケースで学ぶケースメソッド

 補章 ケーススタディのための主な理論フレームワーク